履歴書を作成しているとき、ふと手が止まる瞬間…それは「資格取得」の欄を書く時です。

簿記検定は主催する協会の違いで3種類の検定が存在しており、しかも名称が微妙に違うので、履歴書を書くときに正しい書き方を忘れがちですよね。
さらによく耳にするのがこの噂。

これは本当なのでしょうか??
そんな疑問を、全商と日商簿記の2種類を取得したともすけがわかりやすく解説!
各検定の社会的な価値、現在の立場でどのように書けばいいのかわかる記事となっています。
全商簿記検定の正式名称は?
大人になった今でも全商の検定は履歴書に書いていいの?
2種類の検定を持っているけど、どう書けばいいの?
これを読めば、履歴書にまつわる疑問が一気に解決できます。
全商検定は履歴書に「書いてもいい」
結論として、全商検定(簿記でも珠算でも)をお持ちの方は履歴書に「書いていい」です。
「書いてはいけない」「書かなければならない」という強制的なものではありません。
自分で書きたいと思えば履歴書に記載するもよし、逆に書かなくてもいいと思えば記載しなくても問題ありません。
その理由を順を追って説明していきましょう。
「全商検定」は高校生のための検定
そもそも「全商検定」がどのくらいの重みを持つものなのかを知っておきましょう。
「全商」や「全商協会」の正式名称は 全国商業高等学校協会 です。
全国にある商業高校(もしくは商業科や商業コースを設置している高校)に関係する機関ということですね。
全商簿記検定とは全国商業高等学校協会が主催する簿記検定ということになります。
つまり全商検定は高校生のための検定試験ということなんですね。
実際、全商協会でも下記のとおり高校生に対して学習指導要領に則った学習が身についているのかを測定する検定と謳っています。
全商協会の検定試験は、高等学校学習指導要領に示されている内容に準拠して出題されています。生徒の皆さんが、学校の授業で、まじめに勉強したり自学自習したりすれば、各自が目標とする検定試験に合格することができるでしょう。
検定試験合格の目標を持って勉強すれば、学校の学習にも熱意や、やりがいが生まれてきます。中には、たくさんの種目の検定試験、しかも上級に合格することを目指して、意欲的に授業 やクラブ活動に取り組んでいる生徒が大勢います。
長い歴史と輝かしい実績をもつ本協会の検定試験は、広く社会的にも認められています。
(全商協会HPより)
全商検定は高校在学時の頑張りを評価してくれる検定試験というわけです。
とはいえ、末文のように全商協会主催の検定試験は広く社会的に認められているものでもあります。
ここまでのまとめ・全商検定は高校生のための検定
・全商検定は広く社会的に認められている
それでは、高校時代に取得した全商簿記1級は、30歳や40歳になっても履歴書に書けるのでしょうか?
資格取得後の履歴書記載について明確な基準はない
実は資格・検定を履歴書に記載する基準はかなり曖昧で、正しいルールというものは存在しません。
つまり高校在籍中に取得した全商簿記検定は、10年以上経ったとしても履歴書に書いていいということになります。
教育機関(高校・専門学校・大学等)で統一した書き方の指導ルールは存在しません。
例えば広く名の知れた漢字検定がありますが…
学校の指導として3級合格から履歴書に書きなさいと指導している学校もありますし、2級に合格しないと履歴書に書けないと指導する学校もあります。
学校が違えば、履歴書に記載していい級が違ってくるのです。
また、企業に提出する履歴書はさらに曖昧です。
星の数ほどある大小さまざまな企業側に明確な基準というものは存在しません。
就活ハンドブックなどで「○○検定が記載できるのは△△級以上」など記載しているものもありますが、これも明確に「書いてはいけない」わけではありません。
しかし、企業側からすると明確な基準はなくとも「なんとなくこのレベルから記載されるのが普通」という感覚的なものはあります。
「漢検4級取得(=中学校1・2年生レベル)」が記載されていても、あまり人物を見定める指針にはなりませんよね。
むしろ記載れていることで人事担当者は「なぜこのレベルに合格したことをアピールしてくるのか」と思うかもしれません。
つまり履歴書記載のルールは存在しないが、記載する検定レベルが常識的に見て記載する必要性があるかないかで判断が分かれるということです。
ここまでのまとめ・履歴書には持っている資格は何でも書ける
・履歴書に記載する必要があるのかを考えるべき
履歴書の記載方法
それでは次に履歴書に記載する場合の書き方についてです。
・簿記検定の正式名称と記載の仕方
・複数の簿記検定を持っている場合の記載の仕方
この2つを解説します。
簿記検定の正式名称
履歴書に記載する場合、原則として正式名称での記載が求められます。
全商簿記は全商検定でも有名なものですが、正式名称ではありませんね。
先にも述べましたが全商簿記の正式名称は
全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験
です。
このように正式名称で記載することが基本ですよ。
ちなみに簿記検定は3種類あるので、他の簿記検定についての名称も紹介しておきます。
簿記検定の履歴書の書き方全商簿記=全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験 〇級
全経簿記=社会法人全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験 〇級
日商簿記=日本商工会議所及び各地商工会議所主催 簿記検定試験 〇級
略さない、といいましたが日商簿記は社会的知名度や価値が高いこともあり、略したから伝わらないというわけではありません。
しかし、自動車免許を「普通自動車第一種運転免許」と書くのと同じで履歴書には正式名称で記載するのが社会的慣行です。
略しての記載はおすすめしません。
複数の簿記検定に合格している場合
複数種類の検定を取得している場合は次の①~③に注意しましょう。
① 取得した順に記載する
② 検定の記載優先度
③ 検定レベルの互換(全商1級が日商2級など)
① 取得した順に記載する
資格は取得した順に記載します。
資格取得した順に履歴書には記載していくというマナーがあります。
高校生の場合は学校で履歴書の書き方指導の際に「取得した順に書きなさい」と指導されます。
これは社会人でも同じですので、合格証明書の日付順に記載しましょう。
② 所持する検定の記載優先度
日商検定を取得している場合はそちらを優先的に記載しましょう。
全商検定は先述のとおり高校生の頑張りを形に変えた証しです。
一方の日商検定は日本商工会議所が主催する検定であり、企業側にとっては簿記の知識・技能の有無を判断する重要な基準となっています。
③ 各種検定のレベル互換
同じ簿記検定級でも、主催する協会によって差異が存在します。
同じ2級でも「日商>全経>全商」の順と言われています。
日商検定のほうが難易度が高いため、級が下がっても日商検定を優先させます。
例えば「全商簿記2級」と「日商簿記3級」の両方に合格している場合は「日商簿記3級」を記載しましょう。
3つの検定の違いについてはこちらの記事でまとめてあります。
ここまでのまとめ・履歴書に書くときは正式名称で!
・基本的に取得した順で書いていく
・「日商>全経>全商」の順で優先的に記載する
ライフステージに応じた「全商検定」記載パターン
ご自身のライフステージに応じて「全商検定を資格欄に書く必要があるか」を考えてみました。
① 現役高校生の就職活動時
② パート・アルバイトの面接時
③ 大学生・専門学校生の就職活動時
④ 転職・再就職時
先にも述べたように、これが正解!というものではありません。
エントリー先の企業の職種などではこの限りではありませんので、あくまで参考までに。
※以下は日商や全経簿記は合格しておらず、全商簿記のみ合格している場合を想定しています。
現役高校生が就職活動する場合
現役高校生が就職する場合、履歴書に全商検定合格の記載は必須です。
現役高校生の就職活動は社会人と違い、学校・企業間での信頼関係がある程度存在しています。
企業側からしてみれば「○○高校の生徒さんに来てもらいたい」という指名求人を出す場合もあります。
ここらへんは大学生とは異なりますね。
高校生が就職するわけですから、高校時代にどのようなことに力を注いだのか、企業側は判断する基準がほしいわけです。
その判断の基準となるのが各種検定ということになります。
おそらく、高校の先生も「取得した検定はきちんと記載しなさい」と指導するはずです。
パート・アルバイト募集の場合
勤務先によって記載するかどうかの判断が分かれます。
接客や調理などが中心となるコンビニエンスストアやファミリーレストランでは必要ありません。
一方で非常勤事務嘱託員などの場合は記載しましょう。
事務職ではパートといえども帳簿管理をする場合もありますので、きちんと記載することでアピールしましょう。
大学生・専門学校生が就職活動をする場合
記載するメリットはあまりないです。
しかし、他の簿記検定に合格しているかどうかで、判断が分かれるでしょう。
日商検定・全経検定を持っている場合
全商検定を記載する必要はありません。
複数の簿記検定に合格しているというアピールよりも、上級検定を一つ記載するほうがベターです。
日商検定・全経検定を持っていない場合
他の資格・検定試験があまり記載できない(持っていない)場合は履歴書に記載しても構いません。
「高校時代に資格取得に向け勉強しました」というアピールにつながるかもしれません。
転職・再就職する場合
一度は企業に勤めたものの、何らかの都合により退職し、改めて就職活動する場合です。
寿退社後に出産し、子どもが大きくなったので再び働きたい、という人などを想定しています。
基本的には記載しましょう。
状況にもよりますが、高卒就職された方であれば、前の職場は全商検定を持っているから採用したという場合もあります。
もちろん、上位の日商・全経がある場合はそちらを優先的に記載しますが、全商しかない場合はきちんとアピールすべきです。
おまけ:社会人でも全商検定は受検できる!
これまで述べたように、全商は社会人にとってまったく価値がないわけではありません。
基本となる事項、特に高校での商業科の学習内容が理解できているという物差しくらいにはなるでしょう。
そのため、「いずれは日商簿記に合格する」という社会人であっても、簿記を勉強し始めたばかりの人にとっては力試しで受験することもできます。
Q:高校生以外でも検定試験を受験することは可能ですか。
高校生以外でも受験することができます。受験を希望される方は、当協会へお問い合せください。
(全商協会HP:Q&Aより)
全商協会について興味のある方は、以下のリンクからどうぞ。
まとめ:履歴書に書く必要性を考える
この記事をまとめると次のようになります。
まとめ・全商検定は大人でも履歴書に書ける
・全商検定は高校生の頑張りを証明するもの
・書く場合は「書く必要があるか」を考えて!
全商検定は履歴書に書けますが、取得後の現在の立場によってその価値が変わるでしょう。
繰り返しになりますが、全商検定は高校生が高校の授業に則った形での検定試験に合格するから価値が出るものと考えましょう。
現在は学歴社会と言われ、大卒からの就職が大半を占めます。
その中で高校3年生が「全商検定持ってます」と言えば企業側は高校生を評価できますね。
しかし、40歳のフリーターが「全商検定持ってます」とアピールしても、企業は困ってしまうでしょう。
大卒の人や社会人となった人が全商検定を記載しても、企業側が現在どのような人物なのかを推し量るという材料にはなりえない場合があるということです。
特殊な例ですが「全商珠算検定1級」は「そろばんを使えるスキルがあるだろう」という単純な証明にはなるわけですから。
履歴書に書けばアピールになることもありますが、常識的な範囲の中で記載する必要があるかを考えてみましょう。
お時間がありましたら、こちらの記事も参考にしてください。
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